障害現役就労移行支援員のよしころろです。事業所や公式のサイトではお伝えできない本音やぶっちゃけた話等知らないと損する情報をブログで発信しています。
平成30年から、「就労定着支援事業」という新しい福祉サービスがはじまったので、期間や料金など気になることをまとめました。
定着支援事業とは?
障害者雇用として働く人が使える「定着支援事業」は新しい福祉サービスの1つです。
障害者雇用として採用されてもどうしても辞めてしまう人が多く継続して働き続けるための仕組みの一つとして作られました。
定着支援事業の対象者やメリット、デメリットをお伝えします。
定着支援事業を利用できる人は?
障害者雇用として働いている人が使える「定着支援事業」と先ほど説明しましたが、定着支援事業を利用できる人は限られています。
就労移行支援事業所を利用して就職し6か月間以上働いた人
就労継続支援A型事業所を利用して就職し6か月以上働いた人
就労継続支援B型事業所を利用して就職し6か月以上働いた人
生活介護事業所を利用して就職し6か月以上働いた人
自立訓練事業所を利用して就職し6か月以上働いた人
そう、どこか福祉の支援機関を利用している就職する必要があり、入社後半年後から利用できるという期間縛りがあります。
結論からいうと利用料金はもらっている給料によっては自己負担額が発生します。手取り15万くらいであれば無料で使える場合が多く利用できる期間は3年間です。
支援機関を利用していた場合は入社後にサポートが得られる事業所が多いと思いますので、就職後不安がある場合は事前に伝えておきましょう。
支援機関経由で就職しても、とっても安心できる職場だった!サポート体制がしっかりしている。一人で仕事をしていけるとうい場合は定着支援事業を活用しない選択ももちろん可能です。
一方で定着支援事業の制度ではハローワークを使って一人で就職活動して障害者雇用として働いた人や障害者雇用応募サイトを使って就職した人は対象とはなりません。
定着支援事業は利用できない。だけど、仕事が上手くいってなかったり、不安がある場合は以下のような支援機関に相談してみましょう!
定着支援事業を提供する支援機関は?
定着支援事業を提供する支援機関も限られています。
就労移行支援事業所
就労継続支援A型事業所
就労継続支援B型事業所
生活介護事業所
自立訓練事業所
上記の施設の中で「定着支援事業を提供する届を役所に出している支援機関」です。
そう、注意をしていただきたいのが、先ほど挙げた支援機関すべてが定着支援事業のサービスを提供しているとは限りません。
支援機関は定着支援事業を提供するかどうかを選べます。どうしても福祉業界は人手不足でいっぱいいっぱいな施設が多くサービス提供をしない選択をすることも多いのです。
全国的に見ても3分の1の事業所しかサービス提供をしていないという現実があるそうです(日本障碍者就労支援事業所会報より)
自分が所属していた支援機関が定着支援事業を提供していなかった場合は、他の提供している支援機関を使って定着支援事業を利用することができます。
新たな信頼関係を築いていく必要があるので、支援機関同士の引継ぎを行います。
定着支援事業は具体的に何をしてくれるの?
今までも就職後困ったことがあったら所属していた事業所が相談にのってくれていたと思いますが、それが利用期間中は月に1回対面で面談をするという形になります。
具体的にはこんなことをしてくれます。
・仕事の中での不安を聞き言いずらいことを企業に伝える
・企業と相談し本人の不安が軽減できる方法を検討する
・通院同行し安定して働く方法を検討する(通院同行はほか支援機関の可能性あり)
・仕事で安定して成果をだすためどうしたらいいか相談していく
状況によっては月に3回以上会うこともあれば、安定している人の場合は会っても15分で面談は終わるかもしれません。
もしくは契約をしたものの、必要なときだけ面談するって人もいるでしょう。
障害の症状や仕事の状況が違うのでサポートの方法は人によって違います。
事業所としては1回対面の面談をすることで、1か月に1回請求ができお金が事業所にはいります。
何度相談しても事業所として請求できる金額は変わりませんので必要であれば何度も面談してくれる事業所が多いと思います。
ただ、いつまでも支援者がいないと仕事ができないというスタイルでは長く働けませんよね。
仕事場で周りとの信頼関係を築き、一人で相談などして解決できるようになることがゴールです。
定着支援事業はいつまで支援してくれるの?
定着支援事業は3年間と期限が決まっています。1年ごとに契約をする形になります。
なので、就職してからだと合計3年6か月の期間は支援機関からの定期的なサポートを得ることができます。
就職直後不安が多いなか、3年間サポートしてもらえることがわかっていると安心することができますね。
定着支援事業の利用料はかかるの?
前年度の収入とどこの事業所を利用するかによって利用料がかかります。
確実にひとつわかっていることは、就職するまで1年間仕事をしていなかった場合は就職して6か月後に使える定着支援事業の1年目の利用料は無料です。
各事業所の、就職者の離職状況によって利用料が変動するような仕組みになっています。
今までは就職したらもうサポートをしないような、ただ就職させるだけの支援機関もありました。
新しい制度によって長く障害を持った方が働き続けるためサポートができているのか、各事業所の姿勢も問われているのです。
収入がある場合は1か月2000~4000円以内の金額を契約している障害を持った方本人が支払う仕組みになっています。
契約しないって言っててあとあと状況が悪化したから契約するなんてことも可能です!(就職して3年6か月後には契約が終わるという、契約終了の時期は変えられません)
1回だけ1か月以内に再就職すると引き続きサポート可能
一度だけ転職のサポートができるそうですが、事業所によってその捉え方は様々。
余裕がある事業所は一緒にハローワークへ行ったり実習調整なんかをしてくれるようですが、地域の就労のサポート機関につなげることが転職支援という事業所も。
ここらへんは事業所によっての捉え方次第なので、定着支援事業サービスをやっている事業所に確認してみましょう
2021年4月からの変更点
定着支援事業サービスがはじまってみて、4つ変更点がでてきたのでお知らせします。
支援報告書を提出が義務化
月に1回は対面で支援しましょうという制度なのですが、その支援内容について書類を作ることになりました。
定着支援事業のサービスを契約している以上、支援内容は企業にも提出され確実に支援をしていることを明確に示すことになり今までより安心感を感じている人もいるかも
定着支援連携促進加算が新設
企業、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、医療機関等の関係
機関との連携体制の連携を強化していこうということを目的に作らた加算です。
上記のような機関とケース会議をしたら加算できるよという仕組み。年4回まで。
障害者雇用で一人で就職支援さえあれば問題なく仕事が続く人からすると不要なんだけど、就職後もいろんなところに相談したり、医療のサービス使ってなんとかコントロールしている方もいらっしゃるので、連携することで本人が安心できるし、連携にお金がつくとなるとより定着支援事業提供側としても進めていけるのでは??と思いました!
定着支援事業を利用するメリット
定着支援事業は必要性があるということで新設されたサービスです。
メリットをお伝えしますね!
とにかく安心できる
制度化されているので安心して相談できるのはメリットでしょう!
契約すると対面支援が必要になるので定期的に事業所から連絡がある場合が多いでしょう。
自分から連絡するのが苦手な人からしたらラッキーかもしれません。
支援機関は「何かあったら相談してね」と伝えても知らないうちに辞めていたというパターンはよくあります。
ちょっとした工夫や配慮、企業との間に入ることで就労を継続できることは多いです。
定着支援事業を契約すると企業からも喜ばれる
定着支援事業を契約していることで企業側としても安心です。
障害者雇用として受け入れしたものの、障害のことをどこまで配慮するべきなのか、最近ミスが多いけどどこまで注意したらいいのか、関わり方に悩む企業は多いです。
入社後半年後からの契約なので、だいぶ障害理解は進んでいる状況にはなると思いますが、企業側から支援機関に相談できるというのはメリットです。
会社訪問したタイミングで本人には言いずらいことなどを会社の担当から支援機関に相談することはよくあります。
定着支援事業を利用するデメリット
制度化されたものの、デメリットももちろんあります。
人によってはちょっとめんどくさい
なぜなら、働いているなかで事業所のスタッフと相談しながら支援計画をたてて定期的に振り返り再度計画をたてて実施していく流れになります。
今までは必要な時にだけ連絡をとったらよかったけど、毎月話をする機会を調整するのは面倒だと感じる人も。
そもそもそういった人は就労安定している人が多いので契約しなくてもいいかもしれませんね!
定着支援事業の契約期間終了した後しんどいかも
定着支援事業ができたことで、就職後のサポートは期限ができました。
利用している期限が終わると、その時期以降の相談は就業・生活支援センターや障害者職業センターに引き継ぐ形になります。
毎月支援者と面談をしていても期限がくるともう相談できないという仕組みになってしまいました。
突然相談していた人に相談できなくなるの、しんどくないですか?
そのしんどい状況を防ぐためにも期限が切れる時期を逆算して面談頻度を落とすなどの工夫が必要な人がいるかもしれませんね。
「いつまでも支援機関がサポートしてもらえるわけではない」という気持ちで支援者とともに会社の中の人間関係でサポートしてもらえる仕組みを作ったり信頼関係を作って安心して働けるようにもっていく必要があります。
定着支援事業について私の本音
定着支援事業について今後また制度が変わるのではないかと個人的には思っています。
支援機関の負担増
限られた人員のなかでサービスを提供するので、定着支援事業開始にあたり今までより一層業務が増えました。
月に1回対面での支援が必須となっており今後契約者が増えるにあたって月1回会う調整、管理にとても時間がかかります。
(会う調整、計画検討会議、月1対面の記録、企業に情報を共有、書類ファイリングと管理)
これだけの行動に対して見合う効果がでているかというとそうでもない。
必要なときに事業所に相談していくというスタイルの方がお互いよかったんじゃないかなと思ったりすることがよくあります。
営利目的で事業をしている機関のなかには、就労は安定しているのに必要以上に月1の面談を続けて利益を得るなんて企業もでてきそうですよね。
自立を拒むような関わりにならないように戦略的に支援をする必要がある制度だと感じています。。
定着支援事業は本人にとって本当によいものなのか?
先ほども少し触れましたが、制度上定着支援事業が利用できるのは3年です。
3年間毎月少しでも対面で会っていた支援者といきなり会わなくなる。引き継がれる。
もちろん、不安が多い人には早めに引き継いで次の担当者に慣れるまで面談を同席するなど工夫はすると思います。
それでも、不安じゃないですか?
基本的には就業支援センターに引き継ぐ形になりますが、就業支援センターもかなり多忙です。担当いっぱいもっているのですぐすぐ動けるわけでもない。
まとめ
定着支援は最大3年使えて月1回対面で相談にのってくれる福祉サービス!
定着支援事業は使える対象者が限られており、自分が所属していた施設がサービスを提供していない可能性もあるので調べること。
1年目は無料で定着支援事業サービスを使えるけど2年目以降は自己負担が発生します。
1年目は契約をおすすめしますが2年目以降契約するかは検討していきましょう!
安心できる制度ではあるけど、基本は会社と自分で安心して働ける環境を作っていき支援機関はお守りだと思って仕事での悩みを解決していきましょう!!!