現役就労移行支援員のよしころろです。事業所や公式のサイトではお伝えできない本音やぶっちゃけた話等知らないと損する情報をブログで発信しています。
この記事では障害者雇用で働きたいときに使える就労パスポートというツールのメリットデメリットをまとめています。
就労パスポートとは、2019年に厚生省からリリースされた障害者雇用の方々向けに就職や職場定着の促進を図るための情報共有ツールです。
ハローワークで支援ツールの説明会などされることもあったのですが、いまいち就労パスポート普及が進んでいない気がします。
どんなメリットがあるのかよくわからない。そんな人向けにメリットデメリットをまとめました。
就労パスポートとは?
そもそも就労パスポートとは何なのかをまず説明します。
障害者雇用促進法が改正されたことで、障害者雇用は着実に進展してきており、いままでは難しいと思われていた障害のある方もどんどん就労支援の対象となっています。
ただ、とくに精神障害についてはまだまだ偏見があるのが現状。目に見えない障害ということもあり、他の障害と比べてもなかなか仕事定着率が低くなる傾向がありました!
2017年障害者の就業状況などに関する調査研究によると以下の結果に…
就職後3ヶ月後定着率 | 就職後1年後定着率 | |
身体障害 | 77.8% | 60.8% |
知的障害 | 84.7% | 68.0% |
精神障害 | 69.9% | 49.3% |
発達障害 | 71.5% | 85.3% |
そこで、精神障害に限らず障害がある方が長く働き続けるために、事業主や支援機関がよりよいサポートをするための情報を共有する目的で、お互いに知っておくとよいことをまとめ情報共有のフォーマットとして作られたのが就労パスポートです。
支援機関と一緒に作成することを推奨とされており自分が思う自分だけでなく、支援機関と作成することで客観的な自分も知ることができる機会となっています。
ここからダウンロードできるよ!
就労パスポートのメリットはなに?
就労パスポートはよい!と言われているものの、具体的に何が良いのか支援者向けのガイドラインの引用をもとに考えてみました!
本人のメリット
・就労パスポートの作成を通じて、見落としがちな就労に関する事項を把握することな
どにより、自分自身の特徴などの理解をより深めるきっかけを得ることができる。
・ 事業主に伝えたい自分の特徴や希望を整理し、わかりやすく伝える具体的な伝達手段
として役立てることができる。
・ 自分自身の特徴を整理するとともに、配慮を希望する事項や自己管理の方法を学ぶな
かで、自己理解の促進につながる。
・ 支援者から的確な説明を受けることで、自分の状態を支援者が理解していると感じら
れ、支援者との信頼関係の形成に役立つ。
・ 就職や職場定着に向けた課題や整理しなければならない事項の再確認ができる。
就労パスポートは働くにおいて、上手くいかないポイントについて事前にまとめるような流になっています。
この内容を埋めることで障害の課題だが自己対策が可能なのか、障害の影響で配慮として事業所に配慮をしていただく必要があるのか等、長く働き続けるためにどうしたらいいかを考える機会となります。
現場で働く私の意見としては、企業に提出しなくてもいいから、今後就職したい気持ちがあるなら一度は書いてみる価値あり!
事業主についてのメリット
・ 一人ひとりの多様な特徴を把握し、雇用管理に役立つ情報を得ることにより、障害が
外から見えづらいというわかりにくさからくる採用への不安感を払拭し、スムーズな
雇い入れや職場適応につなげることができる。
・ 職場実習で受け入れた障害者の就職に向けた課題の整理や課題の再確認ができる。
・ 本人の体調変化のサインを把握することにより、ストレス・疲労を本人が訴える前の
段階で状態の変化を把握することができ、本人の変化に早期に対応でき、職場定着に役
立てることができる。
企業側からしたらこの就労パスポートがあればとても安心です。
なぜなら見えない障害は分かりません。書類に障害のことが書いてなかったら、面接の際に根掘り葉掘り聞いて何とか本人の障害を理解できるように努めています。
ただ、この就労パスポートがあれば事前に書いてあるし、聞きずらいと思った点も聞きやすくなるのではないかなと感じています。
支援機関についてのメリット
・ 職場定着にとって重要な観点から本人の特徴、就労に向けての課題を把握でき、支援
のポイントをつかみやすくなる。
・ 本人の特徴や配慮に関する希望について、ポイントを絞って事業主に伝えることがで
きる。
・ 本人との相談、インフォームド・コンセント(説明と同意)を通じて作成を支援する
なかで、本人との間に信頼関係を形成しやすくなる。
・ 支援者の支援経験の多少によらず、統一的な情報の収集ができ、支援者間の情報共有
ツールとして活用することによって、より適切な支援計画の策定につなげることがで
きる。
就労パスポートを埋めることで、今後課題になりそうなことが把握できます。
働く前に一緒にどうしたらいいか支援員と一緒に対策をたてることができるのです。
また、信頼関係ができるきっかけにもなります。
信頼関係があると「何かあったときに相談しよう」という考えが浮かぶので、長く働き続けられるよう何か問題が起きたときに間にはいって一緒に解決することができるのです。
就労パスポートの活用の場はどこ?
こちらも支援者向けのガイドラインにまとめられていました!
引用してご紹介していきます。
他支援機関の利用登録時
他支援機関に本人が利用登録を行う際、自分の特徴などを説明するために提示します。
支援機関は複数あるので、他の機関を使うときに提出するのはおすすめです。
就労移行事業所を使うのも2年という期限がありますし、就労定着支援事業を利用するのも就職後3年6か月までです。
自分のことをより知ってもらうためにこの就労パスポートを使うのは有効です!
職場実習前に提示しよう
現場責任者、指導担当者、作業部署の従業員(一部または全員)などのうち、本人が希望する範囲の対象者に就労パスポートの内容を提示します。職場実習を行うにあたって、職場の指導担当者が事前に本人の特徴を理解しておくことは、円滑な職場実習の実施につながることが期待されます。
なお、職場実習開始前に本人が就労パスポートの写しを職場の指導担当者に渡す場合は職場実習終了後の取り扱い(回収するかどうか)についてもあらかじめ相談しておくことが望まれます
就労移行や就業生活支援センターを活用していると「職場体験実習」を経験することが可能です。
自分が働ける状態なのかを確かめて自信をつけるためにも今の自分の状態について職場の方に知ってもらうととても安心ですね!
その後就職ができる可能性があるような実習の場合は絶対提出しましょう!!
そのまま就職できる可能性がぐっと高まりますよ!
採用面接時に提出しよう
人事、労務担当者、管理職などの面接担当者のうち、本人が希望する範囲の対象者に就労パスポートの内容を提示します。
なお、就労パスポートを履歴書に添付して送付する場合は、送り状などに開示可能な範囲(例:採用検討段階では(○○様、人事担当者様)限りでお願いします)」など記載する方法が考えられます。
これはまじでおすすめです。なぜなら履歴書に障害を書く欄ってないじゃないですか?
職務経歴書や備考のなかで障害説明を書く人が多いと思いますが就労パスポートを送ることでよりあなたのことを理解できます。
精神障害というだけでイメージで仕事ができないと思われている可能性は高いので、具体的に障害について伝えることで企業が安心してくれるかもしれません。
就職時にみんなに知ってもらおう
現場責任者、配属部署の上司・同僚、指導担当者、従業員(一部または全員)などのうち、本人が希望する範囲の対象者に就労パスポートの内容を提示します。
なお、採用をきっかけに、事業主が本人の配属先の従業員などを対象に、本人の特徴などについて理解を深めてもらうことを目的とした研修会を開きたいと希望するケースが想定されます。この場合、本人の同意の元、就労パスポートの内容に基づいて本人の特徴などを紹介することも有用でしょう。
就職時もぜひ就労パスポートを提示しましょう!
個人的に考えているのは、選考時に就労パスポートを提出して採用になった段階で業務内容にあわせて再度就労パスポートの内容を見直すことが理想的だと感じています。
職場定着段階で再度見直していこう
職場定着は、就職時に就労パスポートにもとづいて必要な配慮を講じればうまくいく、というものではありません。就職後も本人の状況や職場環境は変化していきますので、それに応じて必要な配慮・取り組みを随時検討し実行していくことが重要です。
そのため、就職初期に講じられた配慮や整備された職場環境が維持されているか、就職後の職場環境などの変化や本人の作業ぶりに応じて何等か見直す必要があるかなどについては、本人・事業主・支援者との間で、就労パスポートの記載内容にもとづいて随時確認していきます。
上司が異動になったら全然配慮が得れなくなったとか、部署が変更になって一緒に働く人が変わってしまったとか、就職したら大丈夫というわけではありません。
必要に応じて就労サポートを見直したり、必要な人に就労パスポートを見ていただく必要があります。
就労パスポートのデメリットは何?
今まで厚生労働省のサイトを引用してメリットを説明しましたがもちろんデメリットもあります。
現場で作ったことがある私の意見としてぶっちゃけた意見をまとめてみました。
就労パスポート全部終わるの時間かかる
はい、めちゃくちゃ時間かかります。超めんどくさいのは確実です。
やっておいて損はないのですが、そこまで書き出さなくても何とかなることも多いものです。
本人、支援機関ともに作成するのに時間がかかり疲れるのはデメリットでしょう。
就職活動でいきなり必要と言われると焦ってしまうので、早めに一度と作成しておくことをおすすめしますが、量が多いのでなかなか取り組む気持ちになれないのはデメリットです。
就労パスポート受け取った側が全部みるのも大変
はい、もちろんこのボリュームなため、受け取った側も全部把握するのは困難です。
読み込むだけで本人のことが分かった気になるのもよくないですし、重要なところだけ線をひいておくとかであればいいかもしれません。
就労パスポートを渡したから私はもう理解されていると簡単に思わない方がよいでしょう。
就労パスポートを作ったから100%理解してもらえるわけではないのはデメリットであり配慮は伝え続けましょうね!
就労パスポートのメリットデメリットまとめ
就労パスポートのメリットは自己理解につながる、書類を渡す先に自分のことを理解してもらいやすいというメリットがある一方作成に時間がかかり疲れる、渡したからといって理解が十分されるというわけではないことがデメリットです。
時間がある方は作成するにこしたことはありませんのでぜひ取り組んでみてくださいね!
\作り方はこちらから/